ピロリ菌は、胃の粘膜に生息しているらせん形をした細菌で、主に胃や十二指腸の病気の原因になります。
胃の中は強い酸性で保たれているため、生物は住みつくことができないと考えられていましたが、1980年代に胃粘膜の中に生息する「ピロリ菌」の存在が明らかとなり、この菌によって胃炎や胃潰瘍などが引き起こされていることが判明しました。また、ピロリ菌に感染すると慢性胃炎の進行により胃がんのリスクが高まるとも言われています。ピロリ菌を除菌すると、新しい胃がんが発生する確率を減らしたり、ピロリ菌が原因で起こる消化器系の病気を改善したり、予防ができる場合がありますので、除菌療法がお勧めです。
ピロリ菌の検査には、内視鏡で採取した胃の組織を用いて調べる方法と内視鏡を用いない抗体の血液検査、尿素呼気試験、便中抗原測定などがあります。検査によりピロリ菌が確認された方は、抗生剤でピロリ菌の除菌治療を行います。除菌により潰瘍などの再発を予防できます。
ピロリ菌に感染している方はできる限り若い時期(慢性胃炎に進行する前)に除菌治療をうけてピロリ菌を退治すると胃がんになる可能性はかなり低くなると言われています。
特に20歳前後の若い方や胃カメラ(内視鏡)やバリウムは苦手だけど、胃がんは気になるという方は、血液検査で胃の萎縮度やピロリ菌感染の有無を検査するABC検診(自費診療)がお薦めです。
※この検査は、胃がんの有無を調べる検査ではなく、胃がん発症リスクを4段階に分け、将来胃がんになりやすい状態かどうかをピロリ菌検査とペプシノゲン検査によって判定する検査です。